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キャラメルボックス「無伴奏ソナタ」感想

 

5/18にサンシャイン劇場で観ました。

初演も再演も自分の忙しい時期と重なっていて観られなかったから、すごく楽しみにしていて、でも期待以上でした。



以下ネタバレしかないです






ずっとこの幸せは束の間のものという恐怖と隣り合わせで観てた


クリスチャンが誕生した喜び、森の中での孤独だけど楽しい暮らし、ジョーのバー&グリルのにぎやかさ、工事現場で仲間と歌うこと、全部いつか終わってしまうという悲しみと隣り合わせだったけど、その分明るさが身にしみることも



人は幸せになるために生まれた 僕も歌うよ


幸せってなんだろうってなる。

ギレルモがシンガーだったって嘘ついてて、でも自分は作業員で幸せだって言ってたのが無理して言っているようにはあまり感じなかった。

適性検査があることによってなりたいものになれない諦める理由がもらえるのかもとも思ったけど

生まれた時の先天的なもので何もかも決まってしまうなら今までの経験してきたことの価値がなくなってしまうと思うから、そんな風にならないといいなと思う

自分に何が向いてるのか科学的だとされるもので判断してもらえたら楽だけど、そんなもので簡単に測れるものではないと思いたい願望もある。


それから、ウォッチャーをやらせる、これ以上の罰はない。でもクリスチャンにはウォッチャーができてしまう。しかも有能な。それはこのディストピアな世界観の中の人だからこそ法律を忠実に守ることやゼロから生まれる芸術だけを信じられるのかなって思った


ゼロから生まれる芸術に惹かれる気持ちも分かるけど、オマージュに心震わせられることだってあるわけで


終演後ポスターを見て、多田さんが黒っぽい格好をしてるのはこれはウォッチャーだったのかなって思ったり。 




でも最後に気がつく。


知らない男の声 雨の夜 よみがえる

ほしいものを手に入れろ 耳塞ぐ聞きたくない


あなたには足りないものがあると言われた、それは喝采だった。


客席からも拍手喝采が起きて、クリスチャンの音楽とこの舞台自体、客席がないと成立しない舞台の上と客席との関係に重なった


再再演なのでTwitterとか役者ブログでなんとなく何が起こるかは知っていて、知らない状態で観たかったなあとも思うんだけど、それにしたってあの劇場でしかできない体験、本当に素晴らしかった。

加藤さんのツイートで、起きない日もありましたって言うの見て、本当にすごい中にいたんだなあ。拍手起きる日に観れてよかった。あれがあるのとないのとでは大違いだと思う。


カーテンコールでシュガーの歌流し続けるのはずるい。カーテンコール終わるまで泣き止まなかったの初めてかもしれない。


多田さんが4回目のカーテンコールで両手を開いて、ぱっ、て言って、いや声が出ますよ、か、話せますよ、みたいなこと言ったんだけど、それまで多田さんの声聞いてなくて、拍手に対して礼をする多田さんとクリスチャンを重ねて観てたんだなって気がついた



この公演を長野の、たぶんあんまり演劇に触れたことのない高校生が観るのかと思うとふるえる。素敵な体験になりますように。




余談だけど、これ観に行った時、スロウハイツの神様のDVDを買いました。

U24チケットのおかけでDVD買うお金で生の舞台2回観れるからDVDはもう少し大人になってからにしようと思ってたけど、スロウハイツは舞台化してくれたことが本当に嬉しかったし、もう一度観たいし、キャラメルボックスTVにもお世話になった気持ちをこめて